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糖のことだけですから、インスリン治療をしていない人でしたら、内服剤では、食前の運動にほとんど問題はないと思います。それを懸念する医師もいることはいますが、歩行や体操などでは、現実的にはあまり問題はないと思っています。

 

-糖尿病の網膜症が出ていて、それを全然知らない患者さんが突然来て、内科ではコントロールについてかなり強く言われて、急にがんばってしまうと、今度は目のほうでは出血が始まると眼科の先生はおっしゃるのですが、そのへんの指導がむずかしいのですがどうしたらよいでしょうか。

 

そうですね。村田英雄さんの例でもそうなのですが、本当にシリアスな状態に陥って初めて動機づけが行われるということがありますね。いまの方でも、血糖が高いということを前から言われていても、何かきっかけがなければなかなか言われた食生活や運動についての配慮ができなかった。たまたま自覚症状が顕著に出てきたということがあって、これはたいへんな病気だと認識したときからいままでいろいろと情報は入っていますから、それを全部いっぺんに始めてしまう。食事は減らしてしまうし、運動は一生懸命やる。そうすると、体に非常に大きな揺さぶりがかかって、それ自体ストレスになります。とくに網膜症にしても神経障害にしても、そういうことが急性増悪の引き金になるということは古くから言われていることです。ですから糖尿病というのは、前糖尿病期から始まって軽症糖尿病期、そして顕性糖尿病へ、顕性糖尿に入っても、血糖値がかなり高くならなければ自覚症状は出ませんから、そうすると、目の前にした患者さんで血糖がかなり高い中高年者ということになれば、もう相当長い期間糖尿病状態にあったということは容易に想

 

 

 

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